特産品にまつわるおはなし

「有馬人形筆」

室町時代から続く、可愛いカラクリ筆

光沢を放つ色とりどりの絹糸が、幾重にも巻かれた美しい筆。筆先を下に向けると可愛い人形がひょこっと筆のなかから顔をのぞかせます。針金と糸とでつくられるというカラクリ筆ですが、その愛らしさに何度も筆を上下させ、遊んでしまいます。有馬人形筆のいわれは古く、御子ができないことを嘆いた孝徳天皇がお妃と有馬温泉に逗留されたところ、皇子誕生となったという古書にちなみ、室町時代に伊助という筆職人が作りだしたといわれます。現在の西田光子さんまで、約450年続く伝統の逸品です。

限りない色と柄の組み合わせが、美しさを生む

この道60年以上という西田さん。糸車に巻かれた絹糸を隙間なく筆に巻いていく作業はすべて手作業の為、一日12~13本つくるのが限度。目の疲れもひどいそうですが、「人形筆がとても綺麗なものでしょう。だから飽きることなく、続けてこられたんですよ」と柔和な表情で語られます。筆の模様は、「市松」「青海波」「うろこ」「矢がすり」の四種類を基本としますが、組み合わせや絹糸の色を変えることで、数限りないバリエーションのある美しい筆ができあがります。

昔を懐かしみ、親から子へと伝わる

有馬温泉の湯本坂、風情ある街並みの一角に「西田筆店」が あります。西田さん達の作業風景を眺めることができ、 毎日大勢の観光客がここを訪れます。 親から子、子から孫へと伝えられた有馬人形筆。 ひょこひょこと顔を出す人形に喜びながら、習字の練習をした頃を懐かしみ、おばあさんが自分の孫へと人形筆を買って帰られることも多いそうです。「おもちゃのように、人形の仕掛けを楽しんでもらえたら」と西田さんは言います。実用的なお習字の筆として、また子宝授与の縁起物として、伝統の技が光る美しい有馬人形筆を手にしてみませんか。